精神疾患の診断は、身体的な疾患が影響していないかをまず評価することが非常に重要となります。
うつ状態の原因の見極め
例えば、初めてクリニックを受診した患者様がうつ病ではないかと疑ったとき、まず「うつ状態」を引き起こす身体疾患がないか評価を行う必要があります。
つまり身体疾患が「うつ状態」の原因となっていないか検討をする必要があります。
また身体疾患を合併している場合、その病気が「うつ状態」に悪影響を及ぼしていないか、また処方されているお薬が「うつ状態」の原因となっていないかを見極めなければなりません。
うつ状態を引き起こす代表的な内分泌疾患には、甲状腺機能低下症があります。
日本では橋本病(慢性甲状腺炎)が多いと言われています。
甲状腺に関係するホルモンや抗体を調べる血液検査は必須です。
また脳梗塞などの脳血管障害の罹患後にうつ状態を認めることがあります(脳卒中後うつ病:post-stroke depression)。
高齢者では明らかな神経学的な症状を伴わない無症候性脳梗塞においてもうつ状態を認めることがあります(血管性うつ病:vascular depression)。
また脳腫瘍や正常圧水頭症といった脳の病気が影響している場合もあります。
そのためには頭部CT検査やMRI検査といった画像検査が必要となります。
精神疾患の診断や治療に必要な検査
また精神疾患の治療薬には、効果や副作用の早期発見のために定期的に血中濃度を測定したり、耐糖能異常(糖尿病)や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)が起こっていないか定期的に確認したりする必要があります。
また頻度は高くはありませんが心電図で異常(薬剤性QT延長症候群)を起こす場合もあります。
各診療ガイドラインなどでは、薬物療法開始前や開始後に定期的に心電図検査を行うことが提案されています。
当院では、精神疾患の診断や治療において血液検査や頭部CT検査、心電図検査を行うことが可能です。
患者様それぞれの状態に応じて必要な検査を適時行います。