1.適応反応症(適応障害)とは?
現代社会ではさまざまな困難に遭遇します。
職場や学校、家庭、病気などストレス因となるような体験をした後に、気分が落ち込んだり不安や焦燥感(イライラする、落ち着かない)、不眠といった症状が出現したりすることで、日常生活に支障をきたした状態が適応反応症(適応障害)です。
通常は、原因となったストレス因が無くなれば症状は改善します。
2.原因となるストレスはさまざまです。
ストレス因の例
- 人間関係の悩みや葛藤
- 離婚や異性関係での悩み
- 失業
- 重大な病気の診断を受けた
- 自分の体力や能力の衰えなど
自分の身の回りの状況や環境にうまく適応できないことが共通してみられます。
*ひどく悲惨で恐ろしい体験をした後に、再体験や回避、過覚醒といった特徴的な症状をみとめることがあり、心的外傷後ストレス症(心的外傷後ストレス障害 PTSD:post-traumatic stress disorderの略)と診断されることがあります。
この場合のストレス因は、適応反応症のストレス因とは異なってより深刻で破局的な出来事であると定義されています。
3.具体的な症状は?
ストレスとなった出来事や原因を過剰に心配したり、繰り返し苦痛を感じたり、頭から離れず固執したりしてします。
上で挙げたような気分の落ち込みや不安、イライラなどの精神症状が出現し、タバコやアルコールの摂取が以前より多くなってしまう行動の変化が出現することがあります。
4.適応反応症(適応障害)の治療は?
薬物療法以外の治療をまず検討します。
病気の成り立ち、つまり環境への影響からさまざまな症状が出現している可能性を理解して頂きます。
また他の精神疾患の症状ではないか検討します。
その上で、まずストレスとなっている原因や環境から離れて(環境の調整を行って)症状の軽減を目指します。
少し落ち着いたら、ストレスとなった原因や環境に対してどのように向き合えばいいのか、どのように対処したらいいのかを考えて自分をバージョンアップさせるよう働きかけを行います。
自分の身の回りの状況や環境にできる限り適応できる方法を見つけていくことです。
つらい精神症状で生活が難しくなった場合は、一時的に睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬などの薬物治療を行うことがあります。
しかし短期間の使用が原則です。