「さっきも聞かれたばかりなのに、また同じ質問…」。認知症のご家族から、とてもよく聞かれるお悩みです。なぜ繰り返すのか、どう対応すればいいのか、その背景と工夫をお伝えします。
①なぜ同じことを何度も尋ねるの?
<ポイント!>
背景には「記憶障害」と「不安」の2つがあります。困らせたいのではなく、「分からない」「不安だ」という気持ちの表れです。
1. 答えを覚えていられない(記憶障害)
認知症では、新しく聞いたことや体験したことを覚えておく力が低下します。そのため、答えを聞いてもその内容を忘れてしまうことがあり、ご本人にとっては同じ質問ではなく「初めて尋ねている」感覚なのです。
2. ご家族はどう対応したらいいの?
「今日は何をする日だろう」「家族はいつ帰ってくるのだろう」など、状況が分からなくなることで不安を感じやすくなります。その不安を解消しようとして、同じ質問を繰り返すことがあります。同じ質問は、ある意味で「安心させてほしい」というサインともいえます。
②なぜ同じことを何度も尋ねるの?
<ポイント!>
正しく覚えてもらうことより、「その都度安心してもらうこと」を意識しましょう。
同じ質問を繰り返されると、つい「さっき答えたでしょう」と言いたくなります。しかし、ご本人は忘れたくて忘れているわけではありません。
具体例(安心できる声かけ)
- 「今日は火曜日ですよ」
- 「大丈夫ですよ」
- 「心配しなくていいですよ」
答えに安心できる言葉を添えて伝えることで、ご本人の不安が和らぎ、ご家族にとっても対応しやすくなることがあります。
③対応に疲れてしまったら
繰り返しの質問への対応は心身ともに負担が大きく、介護をするご家族にもケアが必要です。当院ではBPSD(行動・心理症状)への介入・対応の相談実績も多くありますので、「対応に疲れた」「イライラを止められない」と感じたら、一人で抱え込まず専門医にご相談ください。
認知症と思われる症状にお困りの方は、放置や我慢を重ねず早めに受診しましょう。
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<執筆者>
かめいメンタル・メモリークリニック 院長 亀井 聖史
- 精神保健指定医
- 日本専門医機構認定精神科専門医・指導医
- 日本認知症学会専門医・指導医
- 日本老年精神医学会専門医・指導医
- 日本認知症予防学会認知症予防専門医
- 日本精神神経学会認知症診療医
- 日本医師会認定産業医
- 臨床研修指導医







